中央大学 · 2026年度 · 無機化学・工業的製法

アンモニアソーダ法の反応式と計算理工3学部(一般・英外) 化学 第Ⅲ問

アンモニアソーダ法は、反応式をばらばらに暗記すると長く感じます。「炭酸水素ナトリウムを沈殿として取り出す」「アンモニアを回収する」の2つを軸に、最後に全式を足して中間物質を消してみましょう。

反応と分子を表す化学の概念イラスト
考え方のイメージ図。正確な条件は下の図で確認。
中央大学 2026年度 · 化学

問題文・図

理工3学部(一般・英外) 第Ⅲ問

中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 化学 第Ⅲ問:問題 16ページの問題文・図・選択肢
問題 16ページ · 公式PDF 18ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 化学 第Ⅲ問:問題 17ページの問題文・図・選択肢
問題 17ページ · 公式PDF 19ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 化学 第Ⅲ問:問題 18ページの問題文・図・選択肢
問題 18ページ · 公式PDF 20ページ

出題:中央大学。公式問題の該当箇所を抜粋。原本PDF ↗

条件を整理する

石灰石と食塩から炭酸ナトリウムを作る5段階の反応を扱います。製法名、物質名、分離に使う性質、熱分解、再利用する物質、総括反応式、Na₂CO₃ 10.0 kgの製造に必要なNaClを問う第Ⅲ問です。図は化学反応の関係を表し、工場設備の配置ではありません。

まず、答えから

アンモニアソーダ法の全体の反応と、必要な食塩の量は?

全体はCaCO₃+2NaCl→Na₂CO₃+CaCl₂。NH₃とCO₂を回収して使い、炭酸ナトリウム10.0 kgを作るのにNaClは10.0×(2×58.5)/106=11.0 kg必要です(有効数字3桁)。

さわって理解する

5つの反応を、順番にたどる

段階を切り替えて、投入する物質とできる物質を確かめます。最後は各式を足した総括反応。再利用するNH₃・CO₂に注目してください。

012345石灰石を加熱CaCO₃ → CaO + CO₂生石灰と二酸化炭素を準備各段階の式を足すと、中間物質が消える

石灰石を加熱 · CaCO₃ → CaO + CO₂ · 生石灰と二酸化炭素を準備

解法を、順番に。

STEP 01

原料の石灰石から、CO₂と消石灰を準備する

製法名はアンモニアソーダ法、またはソルベー法。CaCO₃の主成分をもつ石灰石を加熱すると、生石灰CaOとCO₂が生じます。

CaOに水を加えると消石灰Ca(OH)₂。生石灰と消石灰は名前が似ているので、酸化物と水酸化物を対応させて覚えます。

CaCO3⟶CaO+CO2\mathrm{CaCO_3\longrightarrow CaO+CO_2}
CaO+H2O⟶Ca(OH)2\mathrm{CaO+H_2O\longrightarrow Ca(OH)_2}
STEP 02

NaHCO₃を取り出して加熱する

食塩水にNH₃とCO₂を吸収させ、NaHCO₃とNH₄Clを生じさせます。NaHCO₃の方が水に溶けにくい性質を利用して、固体として分離します。

NaHCO₃を加熱するとNa₂CO₃、水、CO₂になります。係数2を忘れるとNa原子とH原子の数が合いません。加熱が必要なのは、設問の反応ⅰとⅳです。

NaCl+NH3+CO2+H2O⟶NaHCO3+NH4Cl\mathrm{NaCl+NH_3+CO_2+H_2O\longrightarrow NaHCO_3+NH_4Cl}
2NaHCO3⟶Na2CO3+CO2+H2O\mathrm{2NaHCO_3\longrightarrow Na_2CO_3+CO_2+H_2O}
STEP 03

アンモニアを回収し、全式の中間物質を消す

NH₄ClにCa(OH)₂を反応させると、NH₃が再生されます。NH₃と、熱分解で回収したCO₂を工程へ戻して使います。

反応ⅲを2倍してから5つの式を足すと、NH₃・水・中間生成物が両辺で消えます。総括式は原料と最終生成物の収支で、これが1段階で直接進む反応だという意味ではありません。

2NH4Cl+Ca(OH)2⟶2NH3+CaCl2+2H2O\mathrm{2NH_4Cl+Ca(OH)_2\longrightarrow2NH_3+CaCl_2+2H_2O}
CaCO3+2NaCl⟶Na2CO3+CaCl2\mathrm{CaCO_3+2NaCl\longrightarrow Na_2CO_3+CaCl_2}
STEP 04

10.0 kgの製造に必要なNaClを換算する

Na₂CO₃のモル質量は106 g/mol、NaClは58.5 g/mol。Na₂CO₃ 1 molにNaCl 2 molが必要なので、質量比は106:117です。

10.0×117/106=11.037… kg。問題指定の有効数字3桁にそろえ、11.0 kgとします。「11 kg」では3桁を表せません。

m(NaCl)=10.0×2×58.5106=11.0 kg(有効数字3桁)m(\mathrm{NaCl})=10.0\times\frac{2\times58.5}{106}=11.0\ \mathrm{kg}\quad(\text{有効数字3桁})
3問で、思い出す

解き方、つかめた?

ここからはCurigo独自の確認クイズです。選んだあと、理由まで確かめましょう。

0 / 3 問を確認

01 アンモニアソーダ法でNaHCO₃を分離するときに使う違いは?
答えと理由を見る

水への溶解度。NH₄Clとの水への溶解度の違いを使います。

02 Na₂CO₃を1 mol作る総括反応で、NaClは何mol必要?
答えと理由を見る

2 mol。Na₂CO₃にはNaが2個あるので、NaClが2 mol必要です。

03 工程で回収・再利用する2物質は?
答えと理由を見る

NH₃とCO₂。アンモニアを再生し、熱分解で生じるCO₂を戻します。

よくある疑問

ソルベー法とアンモニアソーダ法は同じ?

はい。この問題ではどちらの名称も公式解答に挙げられています。

全体の反応式にNH₃がない理由は?

工程で使った後に回収され、式を足すと左右で相殺されるからです。

出典・解答の確認

出題:中央大学 2026年度 理工3学部(一般・英外)(2026-02-15実施)化学 第Ⅲ問。問題文・図・選択肢は大学公式PDFの該当箇所を抜粋して掲載しています。「条件を整理する」はCurigoによる要約です。

解説・計算図・確認クイズはCurigoが独自に作成。公開されている解答例との照合に加え、代入・式変形・全列挙・数値計算など、設問に応じた検算を行っています。図の操作は理解を助けるためのもので、証明は本文に示しています。

編集・検証方針 · 誤りの連絡:Curigo編集部