中央大学 · 2026年度 · 熱力学・熱機関

熱機関のp–V図とカルノーサイクル理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅲ問

p–V図で「面積が仕事」と覚えていても、どの面積を割るのかで迷いやすい問題です。まず各過程で熱・仕事・内部エネルギーのどれが変わるかを整理してから、ループ全体へ戻ります。

ばねと振動の概念イラスト
考え方のイメージ図。正確な条件は下の図で確認。
中央大学 2026年度 · 物理

問題文・図

理工3学部(一般・英外) 第Ⅲ問

中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅲ問:問題 16ページの問題文・図・選択肢
問題 16ページ · 公式PDF 18ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅲ問:問題 17ページの問題文・図・選択肢
問題 17ページ · 公式PDF 19ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅲ問:問題 18ページの問題文・図・選択肢
問題 18ページ · 公式PDF 20ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅲ問:問題 19ページの問題文・図・選択肢
問題 19ページ · 公式PDF 21ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅲ問:問題 20ページの問題文・図・選択肢
問題 20ページ · 公式PDF 22ページ

出題:中央大学。公式問題の該当箇所を抜粋。原本PDF ↗

条件を整理する

n molの単原子理想気体が、A→Bで温度T₁の等温膨張、B→Cで断熱膨張、C→DでT₂の等温圧縮、D→Aで断熱圧縮を行います。T₁>T₂、体積VA・VBを指定。比熱比、状態C・D、内部エネルギー変化、図の面積と熱効率の関係を問う第Ⅲ問です。

まず、答えから

等温・断熱を組み合わせた熱機関の効率は?

高温T₁、低温T₂(絶対温度)で動くこの可逆サイクルの熱効率は1−T₂/T₁です。p–V図のループ内部の面積が正味の仕事、高温の等温膨張の曲線下の面積が吸収熱。単原子理想気体の比熱比は5/3です。

さわって理解する

低温側の温度を変えると、仕事の面積は?

例としてT₁=600 K、nR=1 J/K、VA=1 m³、VB=2 m³。T₂を動かすと断熱曲線も変わります。青が等温過程、緑が断熱過程。囲まれた領域が1サイクルの正味の仕事です。

V (m³)p (Pa)ABCD

T₂=300 K · 熱効率 50% · 吸収熱 415.888 J · 正味の仕事 207.944 J

解法を、順番に。

STEP 01

単原子理想気体の比熱比は5/3

内部エネルギーU=(3/2)nRTから、定積モル比熱CV=3R/2です。マイヤーの関係Cp=CV+RでCp=5R/2となり、γ=Cp/CV=5/3。

等温部分では理想気体の内部エネルギーは変わりません。AとBの圧力は状態方程式を、そのまま各体積に適用します。

γ=CpCV=53,pA=nRT1VA,pB=nRT1VB\gamma=\frac{C_p}{C_V}=\frac53,\quad p_A=\frac{nRT_1}{V_A},\quad p_B=\frac{nRT_1}{V_B}
STEP 02

断熱変化はTV^(γ−1)が一定

pV^γ一定にpV=nRTを代入すると、TV^(γ−1)一定になります。γ−1=2/3なので、温度が下がったあとの体積は(T₁/T₂)^(3/2)倍。

CとDの体積はそれぞれBとAの体積に同じ倍率を掛けるので、VC/VD=VB/VAです。これが最後の熱効率を簡単にします。

VC=VB(T1T2)3/2,VD=VA(T1T2)3/2V_C=V_B\left(\frac{T_1}{T_2}\right)^{3/2},\quad V_D=V_A\left(\frac{T_1}{T_2}\right)^{3/2}
pC=nRT25/2VBT13/2,pD=nRT25/2VAT13/2p_C=\frac{nR T_2^{5/2}}{V_B T_1^{3/2}},\quad p_D=\frac{nR T_2^{5/2}}{V_A T_1^{3/2}}
STEP 03

断熱では、外にした仕事だけ内部エネルギーが減る

気体が外にした仕事をWとすればΔU=Q−W。断熱のB→CではQ=0なので、曲線下の面積だけ内部エネルギーが減ります。D→Aでは圧縮されるため増え、増減量は打ち消し合います。

問題の微小変化では(1+x)^a≃1+axを使い、ΔV≃(3/2)VB ΔT/T₁。pBを掛けると(3/2)nRΔTとなり、内部エネルギー式と一致します。

ΔUB→C=−32nR(T1−T2),ΔUD→A=+32nR(T1−T2)\Delta U_{B\to C}=-\frac32nR(T_1-T_2),\quad \Delta U_{D\to A}=+\frac32nR(T_1-T_2)
ΔV≃32VBΔTT1\Delta V\simeq\frac32V_B\frac{\Delta T}{T_1}
STEP 04

ループの面積を、吸収した熱で割る

等温膨張A→BではΔU=0なので、曲線下の面積ABbaAが吸収熱QH。等温圧縮C→Dで放出する熱の大きさQCは面積DCcdDです。正味の仕事はループABCDAの面積になります。

積分で確かめるとQH=nRT₁ log(VB/VA)、QC=nRT₂ log(VC/VD)。体積比が等しいため、QC/QH=T₂/T₁となります。対数で表す部分は、面積の説明を補う独自の別解です。

η=WnetQH=1−QCQH=1−T2T1\eta=\frac{W_{\rm net}}{Q_H}=1-\frac{Q_C}{Q_H}=1-\frac{T_2}{T_1}
QH=nRT1ln⁡VBVA,QC=nRT2ln⁡VCVDQ_H=nRT_1\ln\frac{V_B}{V_A},\quad Q_C=nRT_2\ln\frac{V_C}{V_D}
3問で、思い出す

解き方、つかめた?

ここからはCurigo独自の確認クイズです。選んだあと、理由まで確かめましょう。

0 / 3 問を確認

01 単原子理想気体の比熱比γは?
答えと理由を見る

5/3。CV=3R/2、Cp=5R/2なので、比は5/3です。

02 断熱膨張で気体が外に仕事をすると、内部エネルギーは?
答えと理由を見る

減る。Q=0のため、ΔU=−Wとなります。

03 高温600 K、低温300 Kの可逆熱機関の効率は?
答えと理由を見る

50%。1−300/600=0.5です。

よくある疑問

p–V図のどの面積が正味の仕事?

1サイクルのループが囲む面積です。時計回りなら気体が外にする正味の仕事が正になります。

なぜ効率は100%より小さい?

このサイクルは低温側へ熱を放出し、T₂>0 Kでは1−T₂/T₁が1より小さくなるからです。

出典・解答の確認

出題:中央大学 2026年度 理工3学部(一般・英外)(2026-02-15実施)物理 第Ⅲ問。問題文・図・選択肢は大学公式PDFの該当箇所を抜粋して掲載しています。「条件を整理する」はCurigoによる要約です。

解説・計算図・確認クイズはCurigoが独自に作成。公開されている解答例との照合に加え、代入・式変形・全列挙・数値計算など、設問に応じた検算を行っています。図の操作は理解を助けるためのもので、証明は本文に示しています。

編集・検証方針 · 誤りの連絡:Curigo編集部