中央大学 · 2026年度 · 電気・エネルギー

誘電体入りコンデンサーの直列合成。電池の仕事とエネルギー理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11)

横から差し込む誘電体と、上下に重なる空気層では合成のしかたが変わります。直列容量を求めたら、次は「電源につながっているか」を段階ごとに確認。電荷・電圧・エネルギーを一度に固定しないことが鍵です。

物理量のつながりを表した概念イラスト
考え方のイメージ図。正確な条件は下の図で確認。
中央大学 2026年度 · 物理

問題文・図

理工3学部(一般・英外) 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11)

中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11):問題 9ページの問題文・図・選択肢
問題 9ページ · 公式PDF 11ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11):問題 10ページの問題文・図・選択肢
問題 10ページ · 公式PDF 12ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11):問題 12ページの問題文・図・選択肢
問題 12ページ · 公式PDF 14ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11):問題 13ページの問題文・図・選択肢
問題 13ページ · 公式PDF 15ページ
中央大学2026年度 理工3学部(一般・英外) 物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11):問題 8ページの問題文・図・選択肢
問題 8ページ · 公式PDF 10ページ

出題:中央大学。公式問題の該当箇所を抜粋。原本PDF ↗

条件を整理する

極板面積S=wl、誘電体の厚さd・誘電率εA、空気層の厚さy・誘電率ε₀。初めはy=2dで電圧Vの電源へ接続。その後スイッチを開いてy=dへ静かに縮め、再び同じ電源へ接続します。回路には抵抗Rがあり、各接続後は十分に時間が経った状態を考えます。

まず、答えから

空気層を縮めて電源につなぎ直すと、電池の仕事はどこへ行く?

電場方向に重なる誘電体と空気層は直列として扱います。電源を切って間隔を縮めるとQ一定のまま容量が増え、電圧は低下。再接続時の電池の仕事Wの一部は静電エネルギーの増分ΔU、残りは抵抗のジュール熱になります。

さわって理解する

3つの段階で、固定される量を追う

εA=3ε₀の比較例です。容量をC₀=ε₀S/d、電荷をC₀V、エネルギーをC₀V²で規格化し、接続→切離し・圧縮→再接続を切り替えます。

電源に接続して充電誘電体 d空気 2dC/C₀ = 0.429Q/(C₀V) = 0.429電圧/V = 1U/(C₀V²) = 0.214充電後のQを次の段階へ引き継ぐ。

電源に接続して充電 · C/C₀=0.429 · 電圧/V=1

解法を、順番に。

STEP 01

電場方向に重なる2層は直列になる

誘電体層の容量はεA S/d、空気層はε₀S/y。電位差は2層の分を足し、電気変位に対応する電荷は共通なので、容量の逆数を足します。

以降、初期y=2dでの合成容量をCi、縮めたy=dでの容量をCfと置きます。記号を分けておくと、同じCに異なる段階を混ぜずに計算できます。

1C(y)=dεAS+yε0S\frac1{C(y)}=\frac{d}{\varepsilon_A S}+\frac{y}{\varepsilon_0 S}
Ci=εAε0Sd(ε0+2εA),Cf=εAε0Sd(ε0+εA)C_i=\frac{\varepsilon_A\varepsilon_0 S}{d(\varepsilon_0+2\varepsilon_A)},\quad C_f=\frac{\varepsilon_A\varepsilon_0 S}{d(\varepsilon_0+\varepsilon_A)}
STEP 02

切り離して縮める間はQが一定

初期の電荷はQi=CiV。スイッチを開いた後は電荷が出入りできないため、このQiを保存します。空気層を縮めるとCf>Ciなので、V₂=Qi/CfはVより小さくなります。

縮める前後で静電エネルギーが変わるのは、極板を動かす力学的な過程があるためです。その後の「電源へ再接続する区間」と、ここを混ぜないようにします。

Qi=CiV,V2=CiCfV=ε0+εAε0+2εAV<VQ_i=C_iV,\qquad V_2=\frac{C_i}{C_f}V=\frac{\varepsilon_0+\varepsilon_A}{\varepsilon_0+2\varepsilon_A}V<V
Ub=Qi22Cf=Ci2V22CfU_b=\frac{Q_i^2}{2C_f}=\frac{C_i^2V^2}{2C_f}
STEP 03

再接続後はVが一定になる

y=dに固定したまま電源へ戻すと、最終電圧はV、電荷はCfVへ増えます。再接続前後の容量は同じCfですが、電荷と電圧が変化します。

電荷の増分はΔQ=(Cf−Ci)V、電源の仕事は一定の起電力Vを掛けてW=VΔQです。静電エネルギーは前後の値を別々に求めて差を取ります。

Ua=12CfV2,ΔU=12(Cf−Ci2Cf)V2U_a=\frac12C_fV^2,\qquad\Delta U=\frac12\left(C_f-\frac{C_i^2}{C_f}\right)V^2
ΔQ=(Cf−Ci)V,W=(Cf−Ci)V2\Delta Q=(C_f-C_i)V,\qquad W=(C_f-C_i)V^2
STEP 04

W−ΔUは正のジュール熱になる

式を引くと、W−ΔU=Cf(V−V₂)²/2で、再接続時の電圧差がある限り正になります。電池がした仕事をすべてコンデンサーのエネルギー増加と置くと、この熱を見落とします。

公式の選択肢は(5)h、(6)f、(7)b、(8)c、(9)d、(10)c、(11)aです。上のCi,Cfへ元の誘電率を代入して展開すると、それぞれの式に一致します。抵抗の値は過渡過程の時間に関わりますが、十分時間が経った前後のエネルギー収支はこの形です。

W−ΔU=(Cf−Ci)22CfV2=12Cf(V−V2)2>0W-\Delta U=\frac{(C_f-C_i)^2}{2C_f}V^2=\frac12C_f(V-V_2)^2>0
3問で、思い出す

解き方、つかめた?

ここからはCurigo独自の確認クイズです。選んだあと、理由まで確かめましょう。

0 / 3 問を確認

01 電場方向に誘電体と空気層が重なる容量の合成は?
答えと理由を見る

直列として逆数を足す。2層の電位差を足し、電荷に対応する量は共通なので直列です。

02 電源を切り離して極板間隔を縮めると、一定なのは?
答えと理由を見る

電荷Q。電荷が出入りできないためQを保存します。

03 固定した容量に電源を再接続したとき、W−ΔUはどこへ行く?
答えと理由を見る

抵抗のジュール熱。過渡電流が抵抗を流れ、差分が熱になります。

よくある疑問

横から誘電体を入れる問題と何が違う?

横方向に面積を分けると電位差が共通で並列、電場方向に層を重ねると電位差を足すため直列です。

電池の仕事はいつも静電エネルギーの増分と同じ?

同じではありません。本問の再接続では差が抵抗のジュール熱になります。

出典・解答の確認

出題:中央大学 2026年度 理工3学部(一般・英外)(2026年2月15日実施)物理 第Ⅱ問 実験2(5)〜(11)。問題文・図・選択肢は大学公式PDFの該当箇所を抜粋して掲載しています。「条件を整理する」はCurigoによる要約です。

解説・計算図・確認クイズはCurigoが独自に作成。公開されている解答例との照合に加え、代入・式変形・全列挙・数値計算など、設問に応じた検算を行っています。図の操作は理解を助けるためのもので、証明は本文に示しています。

編集・検証方針 · 誤りの連絡:Curigo編集部