学習院大学 · 2025年度 · ボーア模型・円運動・原子のエネルギー

ボーア模型の半径と遷移を解く理学部コア試験(物理基礎+物理) 物理 第3問(a)〜(f)

電子の円運動と電子波が整数周だけ収まる条件を組み合わせます。原子番号Zを変えると半径とエネルギーがどう変わるかを図で確かめます。

水素とヘリウムイオンの電子軌道半径を比べる独自の概念図
考え方のイメージ図。正確な条件は下の図で確認。
学習院大学 2025年度 · 物理

問題文・図

理学部コア試験(物理基礎+物理) 第3問(a)〜(f)

理学部コア試験「物理基礎+物理」の第3問。ボーア模型の(a)〜(f)を2ページに分けて掲載します。

学習院大学2025年度 理学部コア試験(物理基礎+物理) 物理 第3問(a)〜(f):第3問 前半(a)〜(d)の問題文・図・選択肢
第3問 前半(a)〜(d) · 公式PDF 11ページ
学習院大学2025年度 理学部コア試験(物理基礎+物理) 物理 第3問(a)〜(f):第3問 後半(e)(f)の問題文・図・選択肢
第3問 後半(e)(f) · 公式PDF 12ページ

出題:学習院大学。公式問題の該当箇所を抜粋。原本PDF ↗

条件を整理する

原子番号Zの原子核と電子1個をボーア模型で考える。電子は速さv、半径rで円運動する。電子波の波長はh/(mv)で、円周がそのn倍になる軌道をn番目とする。r、v、Eₙ,Zを求め、He⁺のn=2→1で放出される光子のエネルギーと水素n=1の半径を求める。

まず、答えから

軌道半径と光子のエネルギーは?

rₙ=n²h²/(4π²mk₀Ze²)、Eₙ,Z=−2π²mk₀²Z²e⁴/(n²h²)。He⁺の2→1の光子は3|E₁,₁|=6.6×10⁻¹⁸ J。水素の基底軌道半径は約5.2×10⁻¹¹ mです。

さわって理解する

nとZで軌道の大きさを比べる

水素の1番目を基準に、量子数nと核電荷Zを変えます。

水素 n=1 の電子軌道核e⁻半径 1r₁ · エネルギー −2.2×10⁻¹⁸ J

水素 n=1:半径 1r₁ · E = −2.2×10⁻¹⁸ J

解法を、順番に。

STEP 01

(a) クーロン力が向心力になる

核の電荷はZe、電子は−e。引力k₀Ze²/r²が向心力mv²/rになります。まずrをvで表すとr=k₀Ze²/(mv²)です。

mv2r=k0Ze2r2,r=k0Ze2mv2\frac{mv^2}{r}=\frac{k_0Ze^2}{r^2},\qquad r=\frac{k_0Ze^2}{mv^2}
STEP 02

(b)(c) 電子波が円周に整数個収まる

n番目の軌道では2πr=nλ。電子波の波長λ=h/(mv)を代入するとv=nh/(2πmr)です。この式と向心力の式を連立するとrₙはn²/Zに比例し、vₙはZ/nに比例します。

2πr=nhmv,rn=n2h24π2mk0Ze2,vn=2πk0Ze2nh2\pi r=n\frac{h}{mv},\qquad r_n=\frac{n^2h^2}{4\pi^2mk_0Ze^2},\qquad v_n=\frac{2\pi k_0Ze^2}{nh}
STEP 03

(d) 運動エネルギーと位置エネルギーを足す

位置エネルギーの基準は核と電子が無限に離れた状態です。電気力による位置エネルギーは−k₀Ze²/r。向心力の式から運動エネルギーmv²/2=k₀Ze²/(2r)なので、和は負の半分になります。

En,Z=12mvn2−k0Ze2rn=−k0Ze22rn=−2π2mk02Z2e4n2h2E_{n,Z}=\frac12mv_n^2-\frac{k_0Ze^2}{r_n}=-\frac{k_0Ze^2}{2r_n}=-\frac{2\pi^2mk_0^2Z^2e^4}{n^2h^2}
STEP 04

(e) He⁺の遷移ではZ²の比を使う

水素はZ=1、He⁺はZ=2です。同じnならHe⁺の軌道エネルギーは水素の4倍。E₂,₂=E₁,₁、E₁,₂=4E₁,₁なので、2→1で放出する光子はE₂,₂−E₁,₂=−3E₁,₁=3|E₁,₁|です。与えられた−2.2×10⁻¹⁸ Jから6.6×10⁻¹⁸ Jを得ます。

E2,2−E1,2=E1,1−4E1,1=3∣E1,1∣=6.6×10−18 JE_{2,2}-E_{1,2}=E_{1,1}-4E_{1,1}=3|E_{1,1}|=6.6\times10^{-18}\,\mathrm{J}
STEP 05

(f) 水素の半径をエネルギーから逆算

基底軌道ではE₁,₁=−k₀e²/(2r₁)。問題に与えられたk₀=9.0×10⁹、e=1.6×10⁻¹⁹ C、E₁,₁=−2.2×10⁻¹⁸ Jを代入するとr₁≈5.2×10⁻¹¹ mです。単位はmで確認します。

r1=k0e22∣E1,1∣=9.0×109(1.6×10−19)22(2.2×10−18)≃5.2×10−11 mr_1=\frac{k_0e^2}{2|E_{1,1}|}=\frac{9.0\times10^9(1.6\times10^{-19})^2}{2(2.2\times10^{-18})}\simeq5.2\times10^{-11}\,\mathrm m
3問で、思い出す

解き方、つかめた?

ここからはCurigo独自の確認クイズです。選んだあと、理由まで確かめましょう。

0 / 3 問を確認

01 核の電荷がZe、電子が−eの円運動。向心力を与える力は?
答えと理由を見る

k₀Ze²/r²。クーロンの法則は電荷の積の絶対値Ze²に比例します。

02 同じZでnを1から2へ変えると、ボーア軌道半径は何倍?
答えと理由を見る

4倍。rₙはn²/Zに比例します。

03 水素の基底エネルギーが−2.2×10⁻¹⁸ J。He⁺のn=2→1で放出する光子のエネルギーは?
答えと理由を見る

6.6×10⁻¹⁸ J。He⁺はZ=2。遷移前はE₁,₁、遷移後は4E₁,₁なので差は3|E₁,₁|です。

よくある疑問

He⁺とヘリウム原子は同じ?

異なります。He⁺は電子を1個だけ持つイオンなので、この1電子のボーア模型を適用できます。

軌道エネルギーが負になる理由は?

無限に離れた状態を0とするため、核に束縛された電子の全エネルギーは負です。

光子のエネルギーは負にならない?

放出される光子のエネルギーは正です。電子の遷移前のエネルギーから遷移後のエネルギーを引きます。

出典・解答の確認

出題:学習院大学 2025年度 理学部コア試験(物理基礎+物理)(2025年2月7日実施)物理 第3問(a)〜(f)。問題文・図・選択肢は大学公式PDFの該当箇所を抜粋して掲載しています。「条件を整理する」はCurigoによる要約です。

解説・計算図・確認クイズはCurigoが独自に作成。公開されている解答例との照合に加え、代入・式変形・全列挙・数値計算など、設問に応じた検算を行っています。図の操作は理解を助けるためのもので、証明は本文に示しています。

編集・検証方針 · 誤りの連絡:Curigo編集部